☆注意☆
サブキャラの年齢とか性格が謎なので、かな〜り偽者です。
想像というか妄想です。自分設定です。

12yaers ago in Tethe Alla
Tales of Symphonia

《春雷》

1.しいな

その日、空は低い雲に覆われていた。
雨が降りそうで降り出さない、陰鬱とした空気が満ちていた。
そして、塔の中では。
「や・・・だめだよ!わかんないよ!」
雷光を集めたかのような球形の存在と、対峙するは幼き少女。
ひときわ強く輝いた球形は、一紡ぎの音律を放つ。
「なにを言ってるの・・・?どうしたらいいの?!」
半ば恐慌状態に陥る少女を囲い守るのは、暗色の装束に身を包んだ者たち。
頭立った老人が少女を見やる。
「しいなよ、落ち着くのだ。如何なる時も冷静さを欠いてはならん」
「でも・・・!おじいさま!」
縋るように見上げた少女に、微笑み、球形に鋭い視線を放つ。
「いにしえより伝わる精霊と契約を結ぶ技術・・・復活させるには尚早であったか」
球形をした精霊は、苛立ったように紫電を撒き散らしている。
《誓いも無しに我を呼び起こす者よ、去れ》
その場の誰も理解し得ぬ音律が響き、直後、塔は雷火に包まれた。
  
* * *


窓の外の喧騒に顔を上げると、、透きとおった空が赤くなった目に沁みた。
眼下に広がるのは整備された街並。白い石畳。
なじんだ黒土の道や茅葺の民家など、何処にも見当たらない。
此処はしいなの育ったミズホの里ではなく、麗しの王都、メルトキオなのだから。

音もなく開いた扉を見やると、見知った顔が現れた。
しいなの親友―――親友だった少年の兄で、しいなにとっても兄のような存在。
「おろち」
思っていたよりも落ち着いた声に青年は頬を緩め、赤く腫れた目に眉を顰めた。
「また、泣いていたのか」
答えず俯く少女に、ゆっくりと告げる。
「午後には担当の研究員に会う。俺は、明日にでも帰ることになるだろう」
うなだれた少女の肩は、頼りない。
「泣くな」
「・・・泣いてなんか、ない」
「泣いたって、帰れる訳じゃない」
ほとんど反射的に顔を上げた少女の瞳には、涙は無かった。
きつく結んだ唇が、押さえすぎて擦り剥けた目元が、震える。
「此処にもミズホの者は居る。おまえは・・・」
弟と同い年の少女を見詰め、青年は、微笑んだ。
「おまえは独りじゃない」
少女の震えは、止まることはなかったけれど。

* * *


里のちからある者の大半は、契約の儀に同行していたから、その殆どが傷付き、息絶えたことは、里の命運を左右する事件だった。
ましてや、棟梁までもが覚めぬ眠りに捕らわれたままだ。
副棟梁のタイガはよく里を纏めたが、事件の原因たる少女を庇いきることは出来なかった。
弱った里に目を付けて王都から送られてきた使者に求められるまま、少女と、精霊召喚の技術を、渡すことになってしまった。

「タイガさまの決断は、おまえの為だよ、しいな」
「・・・おろちは、あたしのこと、怒ってないの?」
鷹揚に笑む少年に、不思議そうに問う。
障子から落ちる光が、痛々しく巻かれた包帯を浮かび上がらせる。
「召喚の復元は里の復権・・・里の悲願だったからね、残念だし、・・・父上や母上のことは、悲しい。でもしいな、だからと言って、おまえばかりを責められないだろう?」
「でも、あたしの所為だ」
ゆるく首を振るおろち。
「里の皆で臨んだ儀式だ。失敗したのは、皆の責任だ。・・・俺だって、あの場に居て、何も出来やしなかった」
普段感情を表に出さない青年の、悔しそうな呟きにしいながそっと手を伸ばそうとした時、静寂を破る足音が響いた。
ガタンと音を立てて障子を開けたのは、くちなわ。おろちの弟で、しいなの親友。
「兄者!こんなところへ居たのですか!副棟梁がお呼びです」
捲くし立てると、キッとしいなを睨む。
「くちなわ、あたしは・・・」
「こんなところ・・・さっさと行きましょう」
ふいとそっぽを向き、駆け出す弟に、兄はやれやれと肩を竦める。
「まったく、あれで間者に成れるのかね。さて、それじゃ俺も行くよ。・・・あまり思い詰めるでないよ」
静かに閉められた障子。
一人残された部屋の静寂に膝を抱く。
「あたしは・・・あたしには、無理だったんだ」
ぽつりと漏らした言葉にどうしようもない自責の念に駆られる。
自分の所為だと思う自分と、自分の所為だけじゃないと思う自分に、気付いて、余計に悔しくなる。
皆の責任だと言ったおろちの言葉すら、自分を慰める為の詭弁だと思えてしまう。思ってしまう自分が恨めしい。
カタリと、音がした。
顔を上げると、障子に映る馴染み深い影。
「・・・くちなわ?」
答えは、ない。
「ごめんね。あたしの所為だ。みんな、みんな・・・くちなわのとうさまもかあさまも、みんな・・・」
「所詮、無理だったんだ」
返ってきた強い口調に、言葉が詰まる。
「おまえなんかじゃ、無理だったんだ。拾い子のおまえなんかが、資格を持っていること自体が、間違いだったんだ」
「それは・・・!」
そんなことないと言おうとして、そうかもしれないと思ってしまった。
握り締めた手の痛みに気付いた頃には、もう、幼馴染の少年の気配はそこになかった。

* * *


薫風が、若葉を揺らしている。
今朝早くに、おろちは別れを告げに来た。
ぎこちなくだけど、どうにか笑って、さよならを言えた。
この研究所で何をすればいいのかも、おおよそ理解したつもりだ。
今は遠い故郷や、彼の塔のことを、そっと胸にしまい込む。
少女は、どうしようもなく、独りだった。


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☆補足☆
しいなとくちなわが7歳くらいで、おろちは15・6歳くらい?
ゲームやってるともっと近い気がするんですけど、物語の役回り上、御都合設定でごめんなさい。

一応、8話完結の予定で、コリンやら神子やらは出演確定です。あらすじだけは書き上げてます。
しかし、ゲーム中の時間設定がよく解らず、出会いとか順番はもう、自分設定ってことでスイマセンです。
2003/10/9ここあにあ

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