Tales of Phantasia
「神様のマジック☆」




高く、澄んだ、蒼穹。
あなたと、同じ色をした…。
ねえ、神様。そこに居るの?
雲の上?
…近づいたら、願い事、叶うかな?



「あたしも、レアバードに乗ってみた〜い!!」
唐突に、アーチェがこんなことを言い出した。
「はあ?なんでだよ。おまえ、箒があるだろ?」
にべもなく答える。
「だってぇ、みんな乗ってるのに、あたしだけ乗った事ないのって、なんかヤじゃん?」
「なんだよ、その理屈は…;」

いつもと変わらない、ごく普通の日。
ミントとクレスは、向こうで昼飯の準備をしている。
すずちゃんはそこの樹の上で、修行(?)をしてるし、クラースの旦那は、この間洞窟で手に入れた小難しそうな古文書を読んでいる。
俺は、というと、特にすることもないので、弓の整備をしようとしていたところだった。

「しゃあねぇなぁ。ほら、貸してやるよ。壊すんじゃねぇぞ。」
そう言って、ウィングパックを渡そうとしたのだが、アーチェは手を出そうとせずに、
「あ、あたしさ!ほら、いっつも魔法で箒飛ばしてるじゃない?だから、ソレの動かし方、あんまりよく解ってないんだよね〜。」
そう言って、やや上目づかいに、俺の顔を覗きこむ。
「…なんだよ。」
「だからさ〜、あんた、操縦してよ!」
「はあ?!」
てっきり、教えろと言って来るもんだと思っていたから、予想外の言葉に驚く。
「なんで俺がおまえなんかと飛ばなきゃならないんだよ。
第一!レアバードは一人乗りだろ?おまえなんかが一緒に乗ったら、重量オーバーで墜落しちまうぜ!」
そう言ったのだが。
「ねぇねぇクラースぅ♪ ………そ♪ありがと!
 大丈夫だってよ♪」
旦那に聞いてくるくらいなら、そのまま乗せてもらえばいいだろうに…。
だいたい、体重の話して、なにも起らないの、不気味すぎるぞ。
しかし、断る理由が無くなっちまった。
「それにぃ、もしか落ちそうになったらさ、魔法かけて浮かばしちゃうからさ!」
「…ったく、しょうがねぇなぁ。」
ウィングパックを展開して、レアバードを出す。
「ほら。来いよ。」
「ん♪」
座席は一つしか無いので、アーチェは座席の後の…ちょっと出っ張った部分に腰掛ける。
「落ちないように、ちゃんと掴まってろよ?」
「うん♪」
ギュ
腰に手を回して、しっかり掴まるのは…いいんだが…、む、胸の感触が(///)
「……65のA…」
「へ?」
「AAか?」
ばきっ★
……痛い…。

レアバードは、最初の離陸時にはヴォルトによる電力を最大に使って、浮力を得る。
が、一旦空に舞いあがると、ホバリングするとき以外は、推進するために多少のエネルギーを使うものの、紙飛行機と同じような原理で滑降する。
…そういうことらしい。俺にはよくわからないけど。
アーチェは、というと、待望のレアバードに乗った嬉しさか、さっきの怒りは何処へやら、元気にはしゃいでやがる。あまり動くと、バランス取りにくいんだけどな。
「アーチェ。」
「なにぃー?」
「おまえさ、空なんて、いつも飛んでるじゃねーか。何がそんなに楽しいんだ?」
ホント、毎日毎日、四六時中箒に乗ってるせに、何がおもしろいんだか。
「えーっ。だって、違うよー。」
声が風に流されるので、アーチェは大声で答える。
「違う?何が?」
「だって、箒はさー、魔法で、自分の意思のまんまに飛ばすじゃん?でもー、コレは違うでしょぉー。」
なんかよく解らん理屈だが、まあ、そういうことにしとくか。
「ふ〜ん。それはそうと、だいたい、何なんだよ。急にレアバードに乗りたいなんてさ。」
え゛。 あ、あの〜。えと、その…
「あぁ?聞こえねぇよ。」
下で、クレスが手を振ってる。昼飯が出来たのかな?
「…だからね…。あたし…、ふっ、ふた…
「蓋?」
「ちがうー!」
「何なんだよ?」
ぎゅっ
急に、アーチェの手に力がこもる。
「…アーチェ?」
………好…き……

…………どれほどの時間なのか、たぶん、本当は一瞬なんだろうけど。
風に流された言葉。かすかに届いた言葉。
「…あっ、アーチェ…。」
「な、何?!」
下を指差し、
「ほら、クレスが呼んでるぜ。昼飯、出来たんじゃねぇかな。」
「そっ、そうだねっ!」
「降りるか?」
「う…。うん!」
ゆっくりと着陸し、レアバードをしまう。
そのまま、クレス達の方へ行こうとする。
つい、と。服を引かれた。
「…アーチェ?」
アーチェは俯いていて、表情が解らない。
「…ねぇ…、聞こえた…かな?」
震える小さな声で、そう聞いてくる。
さっきの言葉。空の上での。
「聞こえた?何のことだ?」
どう答えていいかわからず、つい、誤魔化してしまう。
「そっか。…うん、何でもないの!気にしないでね!」
そう言って、いつもの笑顔。
ご飯だよ、と、クレスの呼ぶ声が聞こえる。
「…ほら、行くぞ。」
そう言って、駆けだそうとして…、動こうとしないアーチェに気づく。
ちょっと、良心が痛い。
「ほら、アーチェ。」
さりげなさを装って、手を握る。
……恥かしいんだけどな。
顔が赤くなってくるのが自分でもわかるから、もう、アーチェの方なんて見れずに、そのまま強引に走り出す。



「ねえ、ミント。神サマって、何処にいるのかな?」
「はい?」
大きな目を更に大きくして、小首を傾げるミント。
困らせちゃったかな? 自分でも、あんまりな質問だとは思うんだけど。
でも、ミントは答えてくれた。
「…そうですね。きっと、私達、みんなの心の中にいらっしゃるのではないでしょうか。」
「ココロの…中?」
「はい。」
そういって、にっこりと微笑むミントは、まるきり女神サマみたいだと、あたしは思う。
「空じゃ…ないのかな…」
「アーチェさんがそう思うなら、きっとお空にもいらっしゃるんですよ。」
「そうなの?」
「はい♪」



きっと、届いたよね?あたしの言葉。…思い。
誤魔化したって、解るんだから。
……手。
……………へへ♪
まだ、ちゃんとした答えなんて、くれなくたっていいんだ。
すくなくとも今はもう、嫌われてなさそうだしね。
勇気を出して、でも小さくしか言えなくて、風にかき消されてしまったと思った、あたしの気持ち。
届いたのはきっと、神様の魔法。

Fin


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後書

らぶらぶ!自分的限界までがんばったらぶらぶ!

題名から解るかもしれませんが、あの歌聴いてて思いついた話です。
PS版「星を空に」のカップリング曲「神様のマジック」
特に2番の歌詞のイメージで!!
あの歌、すっごい可愛いですよねぇ。アーチェスター(謎略)にぴったり!!